日記

2017/01/31(Tue)
【お知らせ】
 2004年3月に開設以来、13年近くにわたりお世話になってきた本サイトですが、あすから装い新たに「新サイト」に移行の予定です。
 明日以降はコラム日記も下記アドレスに移行しますので、宜しくお願い致します。
 「旧サイト」は当面の間、「アーカイブ」として残しておきます。

 【新サイト】 http://www.yanagiharashigeo.com/html/
2017/01/29(Sun)
政治指導者が社会に与える影響
 米国トランプ大統領が移民の入国制限に同意する大統領令に署名したことで各地で多くの嫌がらせが起きていることが報じられている。本日付の毎日新聞によると、ニューヨークのケネディ国際空港の待合室で、航空会社のイスラム教の女性職員が見知らぬ男に「大統領がお前たち全員を追い出すだろう」と暴言を吐かれ、蹴られたという。そうした嫌がらせはすでに広がっているようだ。文化の違いを認め、多文化共生型社会を推進するのとは≪逆行≫して、これでは異文化はすべて敵といった風潮を強めることになりかねない。
 国家指導者と社会的風潮の関連でいえば、日本も実際は似たような面がある。日本では安倍首相自身が南京事件はなかったとする勢力の後ろ盾になっており、実際私はその種の右派系の集会で、首相に復帰して間もない安倍首相の激励のメッセージが読み上げられるのをこの耳で聞いている。そうした政治指導者の立ち振る舞いによって、一部勢力が勢いづき、それが社会に影響を与えていった結果、現在のアパホテルのような問題も生じていると思われてならない。
 トランプ大統領が≪あからさまな扇動者≫であることはわかりやすい例といえるが、安倍首相も本質的には似たよう側面をもっており、首相の場合は≪良識を装った扇動者≫という違いでしかない。社会に与えている影響としては、まったく同じようなものという意味だ。

 【毎日新聞】 http://mainichi.jp/articles/20170129/k00/00m/030/022000c
2017/01/26(Thr)
「事実の価値」が無になったかにみえる日本の言論状況
 本日付の産経新聞(社会面)にアパホテルの代表が顔写真付きで紹介されていた。それによると、代表は「今回のことはいずれ起こると想定していた。いいタイミングで(中国が)騒いでくれた。激励もいただいているし、むしろプラスが多い」と述べ、さらに「本当のことを向こう(中国)の方にも知ってもらう必要がある」と一昨日、大阪市内で開催された会合で述べたという。
 ここでアパホテル代表が述べている“本当のこと”とは、中国側などが主張してきた南京大虐殺について事実そのものを否定する代表自身の歴史観のことを示している。実際の被害を体験した現地住民や関係者からすればなにをかいわんやであろう。
 日本人にわかりやすく例えを使って説明すれば、アパホテル代表の言動は、アメリカの有名なホテル会社の社長が、日本の広島・長崎にかつてアメリカが原爆を投下して罪のない市民を多数殺害したという事実についてデマだと主張する自分の著書を客室内に置いて宣伝し、さらにそれが日本人旅行者によって問題視されると、その経営者は開き直って、“本当のこと”を日本人にわからせないといけないと弁明しているようなものである。それと同じくらいに≪滑稽な構図≫であることをよく理解する必要があるだろう。
 南京虐殺は国際的にも日本国内的にも歴史学的にすでに決着のついている事案であり、産経新聞の阿比留編集委員などが「政府は数億円かけても南京事件の科学的事実を検証しなければならない」との政治家の発言を引いて本日付の産経コラムを書いている姿も、アパホテルの代表とその≪心性≫においてさしたる違いは感じられない。
 彼らは単に真実を知ろうとしない、すでに明らかにされている事実さえも平然と無視する。そうした態度に終始する≪変な人間≫にすぎない。そうした≪変な人間≫が、2017年時点の日本では大手新聞社の論説委員にもなれるし、ホテル経営もできるということだ。
 これらの事態の責任は、直接的には日本政府の教育方針のあり方に求められるし、総体的には言論人にも大きな責任がある。
 阿比留編集委員たちの言い分は、無知なアメリカ人経営者らが、日本で原爆被害がほんとうに存在したかどうかについて、アメリカ政府は数億円かけて科学的事実を検証しなければならないと公に主張しているようなもので、日本人が外国人のそうした言動を目にすれば、≪呆れ≫を通り越した感情に陥ることは十分理解できるはずだ。
2017/01/24(Tue)
嘘だらけの歴史を拡散するアパホテル
 私自身はこのホテルに一度も泊まったことがない。そのため南京事件を否定するような書物が各部屋に置かれていることも知らなかった。部屋に備えつけられている書物の内容の大まかなことは報道でもすでに明らかになっている。私の手元に同じ著者の執筆した『誇れる祖国「日本」』(幻冬舎、2012年刊)という本がある。そこでも南京大虐殺がなかったとの主張がなされていた。ほぼ同じ主張とも思われるので、ここで扱っておく。そこにはこう書かれていた。
 「南京大虐殺について、かつて上海大学の朱学勤教授が『所謂南京大虐殺の被害者名簿というものは、ただの一人分も存在しない』と、でっちあげられた事件であることの何よりの証拠であると言及したことがある」
 「私は世界の虐殺記念館と呼ばれる所に行き、多くの写真や証拠物を見てきた。東京大空襲や広島・長崎の原爆記念館での悲惨な写真、アフリカ・ルワンダの虐殺記念館でフツ族によるツチ族の虐殺の写真、アウシュビッツやカンボジアでも、記念館には虐殺や拷問に使われた武器や装置と、累々とした死体の写真が並び、目を覆いたくなるような悲惨な光景が、これでもかとばかりに展示されている。ところが南京大虐殺記念館には、朱学勤教授が言うように、一人の検証された被害者名簿も虐殺写真もなく、殆ど後日に造った模型や人形で、客観的な物的証拠もないのである」
 以上は、ネット右翼の≪チンピラ≫が、匿名でネットに書き込んだような文章ではない。アパグループの代表を務める人物が、顕名で、半永久に残る紙の出版物に書き込んだ記述である。
 上記に書かれた記述内容は、検証の余地もないほどのデタラメの嘘っぱちである。
 私は南京の虐殺記念館を数回訪れているが、膨大な被害者名簿と被害記録のファイルが天高しと陳列され、記念館そのものも万人坑(万単位で虐殺されたとされる跡)の上に建てられている。これ以上の客観的な物証があろうか。しかもこれらは証拠のごく一端にすぎない。
 日本民族は中国や韓国よりも優秀だとするかのような自民族中心主義(エスノセントリズム)が席巻してやまない現状とはいえ、上記の主張の前提は「真実」に基づくものではなく、都合のよい「虚偽」の宣伝にすぎない。日本は大きなホテルチェーン店が、ウソのプロパガンダを行っても許される程度の社会――。そう他国から見られるのは、日本社会の民度の低さを嗤われるのと同じことではあるまいか。
2017/01/21(Sat)
豊洲市場でいよいよ石原追及へ  情報公開の公約も守る姿勢
 本日付の東京新聞が1面トップで報じているように、東京都の小池知事は昨日の定例記者会見において、豊洲市場の移転問題についてこれまでの東京都の方針と異なり、石原元知事の責任を追及する姿勢を示した。具体的には2012年5月24日に提訴された住民訴訟(現在、東京地裁で係争中)について、被告側である東京都の代理人3人を全員解任し、新たに7〜8人の代理人を選定するという。この訴訟は石原知事(当時)の豊洲市場における土地購入のあり方について住民側が違法と主張しているもので、東京都はこれまでの審理において石原氏の尋問は必要ないとの姿勢で終始してきたという。ところがこれらの姿勢を都が「転換」することを事実上表明したわけで、今後の都政運営に大きな影響を与えることは明らかだ。
 一方、ベタ記事扱いの紙面が多いものの、小池知事は昨日の定例会見で、もう一つの重要な発表を行っている。東京都の公金支出について、その「すべて」を9月からホームページ上で開示するという発表だ。
 東京都は一般会計や特別会計など全部で27会計、年間支出件数約70万件のうち、その「すべて」を支出部署、支払日、支払額などを1件ずつすべて閲覧できるようにするという。これまでは都に情報公開請求をしなければ見ることのできなかった公金支出を全世界に公表するわけで、画期的な試みに思える。都道府県ではすでに大阪府、千葉県、岐阜県などが行っていて、初めてというわけではないらしい。それでも小池知事が「改革の一丁目一番地」と公約してきた政策を現実に実行することは評価できる。情報公開で“後退続き”の「国の姿勢」に比べれば、かなり対照的だ。国はなぜ同じことができないのかという議論に、当然ながらつながっていくことだろう。
 政治が民を信頼し、民を本当の意味で主人公にして扱っているかどうかは、情報公開の在り方にすべてあらわれるというのが小生の率直な考え方である。

 【東京新聞WEB】 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017012190070513.html
2017/01/19(Thr)
日本共産党が党大会  「党勢衰退」が野党共闘を後押し
 2〜3年に1回の頻度で開かれる日本共産党の党大会が18日熱海市で閉幕した。民主党、自由党、社民党などの各党代表などを初めて来賓として呼んだほか、最高指導者の不破哲三・前議長(86)を常任幹部会(25人)の一員として再任するなど、現状の体制を維持しながら、他党を巻き込んで念願の“政権入り”を果たしたいとの欲望を露骨に示す党大会となった。報道によると、志位委員長は、3年前の前回大会から「1万3132人の同志が亡くなった」と報告。党員数は近年最低となる「30万人」に落ち込み、同党の党勢のバロメーターの一つである赤旗読者数も「113万人」と年々つづく下降傾向が止まらない。ある意味、こうした党勢の長期的な衰退ぶりが、同党の与党入りの動きを後押ししている側面がある。
2017/01/17(Tue)
トランプ・サイコパス論
 本日付の毎日新聞で、「マッカーシーの幻」と題するコラムが載っているのを目にした。次期トランプ大統領と、マッカーシズム(赤狩り)で有名なマッカーシーの共通点を指摘した内容だ。過去に私も元弁護士・山崎正友とマッカーシーの共通点を指摘する原稿を執筆したことがある。根底にあるのは、サイコパスと指摘される者に共通する傾向のことだ。最大の共通点は、ウソやハッタリを基盤としていることだろう。
 マッカーシーの過去の言動録を読む限り、サイコパスにほぼ間違いないという確信をこめて記事を執筆したものだったが、そのマッカーシーとトランプ次期大統領の特徴が同じということになれば、トランプ氏をサイコパス・チェックリストを使って診断すれば、どれほどの高得点を得るかという問題と直結してくる。
 米国民が選んだ次期大統領は、実はサイコパスにすぎなかったということになれば、これも一つの歴史ではあろう。

 【山崎正友とマッカーシーの共通点】 http://www.yanagiharashigeo.com/report/Journal4.htm